いつもアトリエで待つことばかりしている私が先日、米子へ一泊する小さな旅をした。駅では創作仲間の友人が待ってくれていて、人に待ってもらうことのうれしさを体感し、子どもたちの気もちが少しわかった。
 焦げつくような夏の中で、部活や宿題や遊びに向かう子どもたちのパワーに感心してしまう。
 「アトリエも夏休みにしちゃおうか」。いつか小声で口に出したら、みんな絵筆の手を止めて、「なんで、そんなことを言う?」としかられた。「ごめん、ごめん」と言いながらも、この夏は生きてゆくのが大変だ、と、北国生まれの私は気力をふりしぼっていた。
 そんな中、二人の女の子が新しく入って来ることになった。満員だったのが、部活で忙しくなった中学生と、遠方から何年も通っていた子が卒業することになり、二つの席が空いたところにタイミング良くはまった。
 どんなに忙しくても、疲労コンパイでも、子どもたちは百パーセントのうれしさで元気に向かってくるので、こちらも同じくらいのエネルギーで受けとめないといけない。
 気もちをシャンと立て直そうと、私は小さな旅をしたのだった。
 足立美術館の童画に浸り、植田正治先生の写真で落ち着き、藤城清治先生の大きな力に圧倒されながら、「よしっ、がんばろう」と友人と目を合わせて気力がみなぎった。
 その藤城清治影絵展のタイトルが「夢と愛と感動をよぶ、光と影の世界展」。アトリエに帰った翌日、さっそく絵の教室に新しい子が二人やって来て、申込書にお母さんたちが名前を記した。
 なんと、「夢」ちゃんと「光」ちゃんだった。
 アトリエの面々に私は二人を紹介した。「夢と光が人間の子どもになって入ってきました」
 「いいねえ、いいねえ」。拍手で迎えながら、ファンタジックな秋がとても待ち遠しくなった。
 

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