十二月のアトリエは、サンタの気配に満ちている。早いもので今年最後の教室だ。
 「さいごって、それは全部の終わりじゃないんでしょ」と、三年生のトモヒロ君は毎年確かめる。
 「ことしだけだよ。すぐ来年のはじまりが来るから心配しないで」と、私も毎年安心させる。
 耳を澄ましていた他の子も、ホッと肩を下げて再び絵に向かう。
 「終わりじゃないよ」と言い続けながらも、少しずつ顔ぶれが変わっていることを、知ってか知らずか一年が暮れてゆく。
 自然農法で、苦節八年ついに「りんご」を実らせた青森の人の話題がクローズアップされている。雑草は、あまり抜かず農薬の代わりに酢を使い、りんごの木自身の生命力に心をかける農法だ。
 「りんご」と「子ども」を置き換えながら私はテレビを見ていた。成長をいじくりまわさず、ただ健やかに育つ環境をつくりひたすら愛すること。
 自然に内側から生まれる好奇心の力で知ろうとしたとき、学べる環境の中で吸収していく知識が本当の知識だ。描きたいきもちで描こうとすれば、いろんな方法も知りたくなるから、そこで少しだけヒントを見せれば、あとは自由に育っていく。
 やっぱり人も自然の一部なんだ、と思った。子どもたちは、みんななかなかいい姿の木になってきた。少しの傷は自分の樹液が治してくれる。
 どこか遠くの知らない大臣が「いじめをやめましょう」と印刷物を配ったって、何の肥料にもなっていないようだ。
 私が本をつくったことに喜んで、ギュッと握手をしながら、たくさんの子どもたちが共に感激してくれた。
 「ありがとうね。全国出版だよ」と言うと、「せんせい、ゼンコクって倉吉もか?」と聞かれた。さあ、そろそろ世界中にサンタの鈴がきこえてくるよ。