この三週間、ズラリと並ぶ生徒作品展の絵を眺めつつ、毎日会場に座っていたら梅雨が明けた。
 広いギャラリーで作者が語り、みんなで拍手して、床にペタッと座っておみやげ用の絵はがきを作ってからソフトクリームをいただきに出かける。夢のような毎日だ。
 ある日、受付を手伝ってくださるお母さんが「『僕の絵は進歩がない』と言うんです」と教えてくださった。
 「落ち込みましたか」と聞いてみると、「いいえ、さらに意欲がわいたようで、はりきっています」と、にっこりされた。会場のみんなの展示を見てのことらしい。
 絵には、正しいとか誤りとかはなく、それぞれの表現で、苦労しながらも楽しく完成させることを指導しているので、千差万別の作品展は年に一度のロードショーのように圧巻だ。並べると成長や挑戦がよくわかる。
 何年生なのに、とか上手、下手で評価しようとされる方もたまにいらっしゃるが、それはマチガイ。できることなら、学校、学年の表示もしたくないのが本音だ。どれも最高の力作だから。
 自分を「進歩していない」と語った彼は中学二年で、絵も人格も温厚でオモシロくアトリエのみんなから尊敬され、おまけにスポーツマンなのだが、絵は人知れずスランプだった。
 しかし、彼は今回、他の子の作品の成長ぶりを見て、自分を発見した。
 プライドでガヂガヂの人間には不可能である。
 本当に素直で透明な心でなければ自分の内面を発見して母親に語ることなどできはしない。それこそが「進歩の種」だ。
 子どもたちが少しずつでも自分から何かを「発見」していけば、またこれからの毎日が変化するのだろう。人の作品を絶賛し自己を見つめた彼の心は、青い海のように澄んでいると思った。私もまた子どもたちを再発見して、本日、展らん会が静かに閉幕する。
 たくさんのご来場ありがとうございました。